ちょっと疲れたから、たまにはプライベートな話題を書いていきたいと思う。
先日31年間の現役生活を終えて獣神サンダー・ライガーが引退をした。
本当にお疲れさまでした。
https://www.nikkansports.com/battle/news/202001060001067.html
子供の頃から見ているライガーが引退なんて、本当に長い間活躍していたんだなと感じる。
初めてテレビで見たライガーの試合はペガサス・キッドとのIWGPジュニアを掛けての試合だった
1992年2月10日(月) 名古屋レインボーホール
16分22秒
飛びつき後方回転エビ固め
https://www.njpw.co.jp/champions/iwgp-jr?pageNum=7
この日はその他の試合としては
・(長州・マサ斉藤・木村) VS (蝶野・橋本・野上) の6メンタッグマッチ。
→ゴング前から長州が蝶野に股間蹴りをし、遺恨を作る試合
・(武藤・馳) VS (ノートン・アームストロング) のIWGPタッグマッチ
が控える面白い試合だった。
名古屋の興行はプロモーターが有力なせいか、愛知県体育館やその他の興行でも面白い試合が多い。
その中でライガーとペガサスの試合は地味目の試合だった。
当時ライガーは米国2大メジャーの団体の一つであるWCWでWCW Jr.ヘビー級王者でもあり
IWGPとWCWの2つのタイトルを掛けて試合が行われた。
この時は脇腹に怪我を抱え、そこを激しく攻め、試合中盤で食らった風車式バックブリーカーではもはや終わりかと思われたが、一瞬の切り返し技である飛びつき後方回転エビ固めで勝利をもぎ取った。
このマスクマンとしての格好良い風貌、どんな窮地でも諦めない姿勢、一瞬で好きになってしまった。
だが、個人的にベストバウトだと思っている試合はこれだ
1992年4月30日 両国国技館
TOP OF THE SUPER Jr. 第三回決勝戦
VS エル・サムライ戦
新日本プロレス内ではヘビーの選手の試合の方が重要視されていた。
特にアントニオ猪木が現役でやっている時は特にそれが顕著だった。
年に1回ジュニアがヘビーを超える日、つまりジュニアが主役になりメインを飾る日としてリーグ戦は開催された。
合計10選手と正直多くはないが、素晴らしい選手揃いだった。
- 後にWWEヘビー級王者にも輝くペガサス・キッド(後のクリス・ベノワ)
- ルチャリブレの英才教育を受けてきたエディ・ゲレロ(後に彼もWWEヘビー級王者に就く)
- メキシコからの刺客ネグロ・カサス
- ブリティッシュ・ヘビー級王者にも就くデーブ・フィンレー
- メキシコから凱旋帰国したエル・サムライ
- 当時新日本プロレスの練習生だったフライング・スコーピオ
- ヤングライオンから金本浩二
計10選手が総当りで戦い、上位2選手が決勝戦を戦うことになった
この層の厚い選手の中、わずか1敗という好成績のサムライ、
2敗でギリギリ残ったライガーが勝ち残った
この試合の解説をする前に背景をおさらいしていきたい。
サムライはこの試合で初めてスポットがあたるが、それまでは会社の扱いとしても散々だった。
若手の一員であったが、メキシコのプロレス大学に11ヶ月間留学して、ルチャリブレの基礎を身に着けた後はマスクマンとして凱旋した。
TVマッチ第一戦では、
(長州+飯塚+サムライ) VS レイジングスタッフ(マシン・後藤・ヒロ斎藤)
と当たった。
ワールドプロレスリングのオープニングのテーマが流れる中、
同じ時期に凱旋帰国をした飯塚が額から大量の血を流して、
セコンドの馳が介抱する中でCMへと流れた。
CM明けの画面では、ヒロ斎藤とサムライにタッチされ、倒されたサムライのマスクが剥ぎ取られた。
対戦相手はちょうどこの頃、1シリーズを欠場し、
ブロンドアウトローズからレイジングスタッフへとチーム名を変え、
代わったところを見せるためインパクトを残す行動を起こしていた。
その餌食になったのが流血の飯塚であり、
凱旋帰国TVマッチ第一戦を迎えたエル・サムライであった。
普通、凱旋帰国後は見せ場を作りスター選手への階段を登るのだが、サムライの場合は違っていた。
素顔を暴かれ、本名の松田納という名前も実況の辻よしなりさんに暴露され、凱旋前の一介の若手を思い出した。
そして、さっきのより先に試合は行われていたが、諸事情により放送がおくれTVマッチ第2戦では、新日本プロレス20周年記念・レトロプロレス編で久しぶりに蘇ったタイガーマスクの相手として抜擢された。
しかし試合前の発表ではこう表示されていた
エキシビジョンマッチ 10分1本勝負
エル・サムライ(松田納) VS タイガーマスク(金本浩二)
通常であれば、姿を隠し謎のマスクマンとするところを括弧書きでバラされてしまう。
そして、実況の辻さんからも解説の桜井さんからも「松田くん」と言われてしまう始末。
期待が無いのが丸わかりだった。
そんな中、サムライは奮闘する。
TOP OF THE SUPER Jr.の開幕戦では優勝候補の筆頭であったライガーと当たる。
マスク剥ぎを敢行し、油断したところでジャーマン・スープレックスから勝利をもぎ取る。
その後も順当に勝っていき、誰も予想しなかったサムライが首位で優勝決定戦に残るという事態になる。
そして、優勝決定戦では開幕戦の勝ちが忘れられなかったのか
序盤からマスクを剥ぎに掛かるが、阻止をされてしまう。
尚もマスク剥ぎの執念に燃えるサムライだったが、頭に来たライガーにより逆にマスクを剥がされてしまう。
これでTVマッチ第一戦・二戦と同じく、素顔のエル・サムライとして戦う事になる。
マスクマン同士の暗黙の了解である、マスクには手をかけないという掟を破ったサムライにはキツイお仕置きが待っていた。
掌底、コーナーへの浴びせ蹴り、パワーボム、チョークスリーパー、場外でのプランチャといった技を繰り出す。
普段だったら芸術性の高いライガーがまさに怒髪天を突くといった感じで、胸のナイフを抜きラッフファイト一点の攻撃を仕掛ける。
開幕戦の屈辱とこの戦い序盤で見せた紳士さの無いファイトにライガーも、普段と違う一面を見せる。
途中サムライも高角度の前方回転エビ固め(ウラカンラナ)で反撃するが、それも返されてしまう。
そして最後は、当時はまだ新しい技だった雪崩式フランケン・シュタイナーでフィニッシュを飾る。
この試合も普段の華やかなジュニアの試合と違い激しく燃え上がり、メインを飾るに相応しい試合だった。
前半は主人公がやられ、その仇を打ちに努力を重ね最後は勝つという、
終わって見れば米国映画でよくあるような勧善懲悪の試合が、四角いジャングルでは繰り広げられていた。
もうあなたの姿をリング上で見られることはありませんが、感動をありがとう。
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